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学習支援に役立つ K-ABCⅡ―WISC との違いは?―

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学習支援に役立つ K-ABCⅡ―WISC との違いは?―

インターネットが普及し、簡単に情報が手に入るようになり、「発達障害」という用語は今や一般的なものとなりました。
同時に、発達検査の一つとして使用されている「WISC」の存在も、一般の方々に広まりつつあり、WISC を受けたことがある子どもが増加しているように感じます。

一方で、WISC は知っていても、学習に苦しむ子どもたちを支援するのにより役立つ可能性のある K-ABCⅡについてはよく知られていません。
勉強が苦手な子の学習に活用するならば、WISC より KABCⅡの方が支援計画に役立てることができることをここでお伝えできたらと思
います。
※現在日本の WISC による検査は、Ⅳから V への過渡期であるため、便宜上ここでの表記は『WISC』にさせて頂きます。

■WISC と K-ABCⅡの関係

WISC は 、 ウ ェ ク ス ラ ー 児 童 用 知 能 検 査 ( Wechsler Intelligence Scale for Children )のことで、知能を総合的に測定するために作成された検査です。日本では現在 WISC―Ⅳがよく使われていますが、2021年に最新版である WISC-Vがリリースされました。

実は K-ABCⅡの前身である K-ABC を開発したカウフマン夫妻は、1974年に発売された WISC の改訂版である WISC-R の開発に携わって
いました。

カウフマン夫妻は、学習に苦しむ子どもたちを支援するために、知能とと も に基 礎学 力 を個 別で 測 定す る、K-ABC(Kaufman Assessment Battery for Children)を作成しました。その後、K-ABC を改良した K-ABCⅡがリリースされ、現在使用されています。

K-ABCⅡでわかること

K-ABCⅡは、新しい問題を解決するために情報を認知的に処理する『認知処理能力』と、日常生活で認知処理を通じて獲得した知識や技能である『習得度』を分けて測定します。

認知処理能力では『継次処理、同時処理、学習能力、計画能力』を測定します。継次処理は、複数のステップを順序良く処理する能力であり、
同時処理は、複数の情報を同時に処理する能力です。学習能力は、新しい情報を覚える能力であり、計画能力は、目的を達成するために計画を立てる能力です。

習得度は、『読み、書き、語彙、算数』という日常生活で認知処理を通じて獲得した知識や技能を測定します。

これらの能力は、学校で必要とされる基礎的な能力であり、習得度の評価は、学習における支援計画や、学習の進捗状況の把握に役立ちます。

また、認知処理能力と習得度を分けて測定することで、両方のバランスを見ることができるため、認知処理能力のレベルに合わせた習得レベルを達成するための支援を提供することができます。

■K-ABCⅡが学習支援に役立つ理由

K-ABCⅡは、子どもの課題解決のプロセスに焦点を当てた検査で、課題解決について、能力の有無ではなく、解決の仕方の『特徴』として捉えます。

これにより、子どもの得意な認知スタイルを見つけ、それを生かした学習方法の提案や指導に役立てることを目的としています。

WISC と K-ABCⅡ、どちらも知能検査ですが、K-ABCⅡは教育領域の支援を目的に作成されているため、教育において、勉強が苦手な子の学習における優位な能力や特性の把握や支援計画を立てることに役立てることができます。

特に学習障害が疑われるような子には、K-ABCⅡを受けることで適切な支援につなげやすい面があります。

WISC と K-ABCⅡ、両方受ける意味は?

WISC と K-ABCⅡでは、同じ能力を測る検査でも、検査内容が異なることや、KABCⅡでは処理速度を測ることは出来ないため、WISC と K-ABCⅡ両方受けることで、能力をより多面的に検討することが出来ます。

しかし、両方受けることは子どもへの負担が大きいことや、検査結果がその子の能力の全てを表すわけではなく、結果はあくまで支援計画のための目安の1つです。

そのため、目的や状況に合わせて、適切な検査を選択することが重要です。

例えば、漢字だけ出来ない、計算だけ出来ない、科目によって成績が大きく異なる、そんな子には WISC よりも K-ABCⅡを使用した方が適切な学習支援を検討する上で役立ちます。

もし検査を受けたいと考えている場合は、お子さんのどういったことでお悩みなのか、目的に合わせて検討してくださいね。

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