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こうゆう舎の発達特性を伸ばす論理的思考!ADHDや自閉スペクトラム症の子の考える力を伸ばす方法

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発達特性を伸ばす論理的思考術!ADHDや自閉スペクトラム症の子の考える力を伸ばす方法

ADHDや自閉スペクトラム症の子たちはそれぞれに特有の「考え方の傾向」があります。
しかし多くの場合、この考え方の傾向について対応される前に言動でその子の性格や理解度が判断されてしまいます。でも不思議なことにこれは多くの方が望まない。
常にジレンマの中にあるかもしれませんね。
今回はその中でも論理的思考についてみてみましょう。

果たして論理的思考を求めることは無謀なのか。

ADHDや自閉スペクトラム症の子にとって論理的に考えるためにはいくつかの障壁があります。その障壁を理解するために、まずは論理的な思考の種類をいくつか考えてみます。

論理的思考に当てはまると思われる思考法
・比較
・抽象化
・相対化
・因果関係
・三段論法
・正確さの追究

など、これらが論理的思考に該当すると言えるでしょう。

ここから分かることは、そもそも論理的思考法の中にもパターンがあるということ、そしてそのパターンによって得意不得意があるということです。

ちなみに論理的思考はさらに主体的な論理的思考と形式的な論理的思考があると考えると分かりやすいです。

主観的な論理的思考とは自分を中心とした論理的思考のこと。
日常生活で何があったか、何が理由でその出来事が起こったか(嬉しかった・悲しかった・楽しかった・喧嘩してしまった)などを説明する際の力ですね。

形式的な論理的思考とは、文書などを論理的に考えて客観的な情報を整理していく力のこと。
本を読んでいて因果関係を把握したり、算数の文章題で代入する際に具体的な数字をあてはめていく操作のことです。

では、このような論理的思考が発達個性がある子たちに身につかないかというとそうではありません。
実は論理的思考をしたいと思いつつその論理展開の仕方が分からなかったり雑念が入ってきたり、またはその論理を身につけるまでに時間がかかったりきっかけが必要だったりするのが発達個性がある子たちなのです。

論理的思考を求めることは無謀ではないにしろ、自然に身につくようになるまで時間はかかりますしきっかけが必要となることもあります。
ですが論理的思考について指導する側が知っているかどうかは大きなポイントです。

そうでないと結局「考え方が良くない。」「どうして分からないんだ!」という、発達個性がある子たちに原因が帰結してしまうからです。

そもそも論理的思考とは何か

そもそも論理的思考とは何でしょうか?
私たちは普段の生活の中で知らずのうちに論理的思考を用いていますのでもしかしたらあまりにも当たり前すぎることなのかもしれません。

例えば
リンゴを10個買って8個食べました。残りはいくつですか?

という問題があったとします。
このとき「残りを求めるためには引き算を使えばよい。」という考え方から
「8個食べたから残りは2個」という考え方が生まれます。因果関係が成立していますよね。

でも、このときここまで細かく考えているのでしょうか?

おそらくほとんどの人が

「あ、残り2個だ」とパッと判断していると思います。

ですがパッと判断できるようになるためには練習が必要です。

この練習をする期間が小学生ですよね。

でも実はこのようにプロセスを経て計算能力が向上していくので、今パッと直観的に判断できた人も
かつては同じように考えるプロセスを経てきているのです。

しかし論理的思考も次第にその幅を拡張していきます。
それが形式的な操作であり、抽象概念の理解であり、そして抽象概念を用いた論理的思考につながっていきます。

論理的思考もシンプルな組み合わせから徐々に幅や数を増やしてより複雑になっていくのです。

発達個性がある子にとって論理的思考は一癖も二癖もある関門!?

こうした論理的思考は

「なぜだろう?」とか「あれ?この話さっきと言ってること違う?」とか、「だから引き算を使うのか!」など、頭の中での気づきが必要です。

では、この気づきが生まれなかったらどうなるでしょう
もしもこの気づきが、他の要因によって阻害されていたらどうなるでしょう?

例えばあなたが今日の計画を立てたとしましょう。
その計画を立てている最中に超大きな騒音が頭の中に響きわたったらどうなりますか?
また、その計画を立てている最中に超大音量で大好きな歌が聞こえてきたらどうなるでしょう?

これがADHDの子たちの思考のクセの1つです。
しかし彼らは意図的にそのような考え方をしているのではありません。なぜなら頭の中で再生される音や言葉やイメージは意識的にコントロールできる場合とコントロールできない場合があるからです。
脳の発達は小脳から徐々に前頭葉を発達させていきます。こうした思考の統制を行うのは前頭葉のはたらきによるものです。
したがって前頭葉の発達が未熟なうちは意図的に「何を考えるか」を統制できない状態にあると言えます。

本人にだって何が起こっているのか分からない場合がほとんどなのです。

翻って自閉スペクトラム症の子たちはファンタジーの世界への没頭性が高かったり因果関係の把握が難しかったりします。
因果関係を把握するためには絶対基準と相対基準を理解していく必要がありますが、自閉スペクトラム症の子にとって困難となる傾向にあるのは相対性の獲得。

平たく言えば「相手の立場から見たときの自分」や「ヤギとゾウを比較すればゾウの方が大きいが、ヤギとネズミを比較すればヤギの方が大きい」という考え方の獲得の困難さですね。

また、誤った因果関係をとらえやすいために話の文脈が合わなかったり唐突にフィードバックした内容を話題に持ち出したりします。
しかしこちらもADHDと同じく本人の意志によるものではありません。

どちらかと言えば「なぜ自分の言ったことが違うのかが分からない」という疑問を持つことが多いかもしれませんね。

もしかしたらあまりいいまとめではないかもしれませんが、

ADHDは雑念が入り込んで論理的思考が邪魔されやすい
自閉スペクトラム症はそもそもの論理的思考がずれてしまう

というそれぞれの違いがあると言えそうです。
もちろん、子どもによってその強度や考え方のクセは様々です。1つの傾向として参考にしてくださいね。

論理的思考を身につけることはできるの?

結論から言うと、論理的思考を身につけることはできます。
もちろんその必要となる時間や練習の程度には個人差があります。

ただ、私たち指導者側としては早期のうちに論理的思考の練習を行ったり、論理的思考のずれを解消してあげることは大事と考えています。

その理由は

将来になって論理的思考を育てようと思うと
該当する年齢とのギャップが大きくなってしまい積み重ねが遅くなってしまうこと。
失敗体験を重ねることによって2次的に自己肯定感が下がってしまうこと。

こうした負担が重荷となって本人の将来が閉ざされてしまう可能性があるからです。
もちろん、どのタイミングで気づいたとしても私たちも全力を尽くしますし自信をもって成長してもらうことを願っています。
しかし高いハードルを越えるより小さなハードルをいくつも乗り越えていった方が、将来的にはその子にとって大きな力となります。

論理的思考を伸ばすことで起こった変化とは

これは私たちが実際に指導した生徒の話です。
彼の名誉のためにどの発達個性があったかは伏せますね。

彼は当初、国語のテストでもまったくと言っていいほど回答を埋めることができませんでした。
自信を喪失し、勉強に対してのやる気はほとんど感じられません。でも、それは勉強に対してのやる気を感じなかっただけで、彼自身としては「勉強ができるようになりたい。」という強い願望がありました。

さて、実際に彼の頭の中がどのようになっていたかというと
・常に頭の中に騒音が鳴り響いている
・頭の中に音楽や虫の声が鳴り響いている
・「あれしたい」「ゲームしたい」などの欲求にあふれている(欲求はネガティブな意味ではありません)

つまり雑念でいっぱいでした。

こうした雑念ははっきり言ってすぐに無くすことはできません。無くそうにも本人の意志でもどうにもならないのです。
ですから無くす努力はできませんので、他の手立てが必要ですよね。

そこで意図的に論理的思考を考えてもらうために比較的簡単な論理的思考問題を、声に出してもらいました。
特に因果関係の把握については「○○だから▲▲」という具合に、あえて因果関係を強調する練習を行います。

こうした因果関係を把握する練習を行った結果、彼は徐々に国語の回答を埋めるようになります。

これまでノータッチだった記述式の問題も埋めるようになり、
ついにはテストで80点近くとることに成功します。

これが自信となって以来、その子は国語のテストは確実に埋めてくるようになりました。

自分の中で「考える」という感覚が芽生えたのです。

まとめ

論理的思考を育てることでできるようになることはたくさんあります。
聞いた話では論理的思考を身につけることで日々のコミュニケーションを楽しむようになった子もいるそうです。これは私の知人の方が事例として紹介していました。

もちろんその必要となる時間や練習の程度には個人差がありますが、今からできることをただ見過ごしてしまうのはもったいないですよね。

私たちの教室ではこうした論理的思考をより正確に身につけるために、言語聴覚士や公認心理師といった専門家がチームとなって生徒を指導しています。
どの講師が指導しても同じ結果が得られるように、講師の育成を行っています。

お子さんがコミュニケーションや勉強を楽しむようになってくれたら、今よりできることが増えたら保護者の方も嬉しいですよね。

まずはお気軽にご相談ください。

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