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「その音やにおいがダメ!」発達障がいの理解に欠かせない感覚過敏とは

発達障がいの本やブログの中に「イヤーマフを使う」「においがしないように空間に配慮する。」といった方法を見かけたことはありませんか?

 これは感覚過敏に含まれる特徴の1つで、特定の刺激(音やにおい)に対して他の人より敏感に反応してしまうため、極端にその刺激に弱かったり反対にこだわりをもったりすることをさします。

厳密に感覚過敏であるかどうかとはまた異なりますが、発達障がいの子を理解するうえでこの感覚過敏に対する理解は欠かせません。今回は感覚過敏がどのように起こって、どのような行動につながっているのかまとめました。

目次

HSP/HSC(感覚過敏)とは?発達特性と感覚過敏の関係

感覚過敏には「高い共感性」「豊かな感受性」「深い思慮」といった点も含まれてます。ただ、発達障害の子の中には部分的に感覚が敏感もしくは鈍感な子がいます。発達障害の子が必ずしも感覚過敏であるとは言えませんが、感覚について理解することはその子を理解するうえで不可欠な要因です。

感覚過敏とは?

まずはじめに、感覚過敏とはどういうことなのか見てみましょう。
こちら、非常によくまとまっていたので引用させていただきました。

「HSPとはハイリー・センシティブ・パーソンの頭文字を取った言葉で「視覚や聴覚などの感覚が敏感で、非常に感受性が豊かといった特徴を生得的に持っている人」のことをいいます。
元々はアメリカの心理学者であるエレイン・N.アーロン博士が1996年に提唱した言葉ですが、現在は、上記のような人のことを指す言葉として使われることが多いです。
HSPの人には、「ものごとを深く考える」、「刺激を受けやすい」、「感情の面で反応しやすく共感しやすい」、「かすかな刺激に対する感受性が強い」という4つの特徴があり、アーロン博士は、この4つの特徴全てに当てはまる人をHSPであると定義しています。HSPの割合は全人口の15~20%と言われているため、約5人に1人がHSPであると考えられています。」


注目してほしいのが「ものごとを深く考える」「感情の面で反応しやすく共感しやすい」といった、思考や感情の動きも感覚過敏の特徴の1つであるという点です。

ただ感覚が過敏だけではない?感覚がもたらす思考や感情の動き

さきほど特徴の中に「ものごとを深く考える」「感情の面で反応しやすく共感しやすい」といった点をあげました。
ものごとを深く考えることとどのようなつながりがあるのでしょうか。

においを例にとってみましょう。

町中を歩いていてふとにおいをかぐと、どこか懐かしいにおいを感じたり昔のできごとを思い出すことはありませんか?
私たちは五感を使って出来事を記憶しているので、そのような感覚的な刺激がふとした瞬間に体験を思い出させることがあります。
そのとき「ああ、懐かしいなあ。」とか「今年もこの季節がやってきた。」というような表現をしますよね。

このように感覚によってふと思い出される情景もあるということは、不快感を誘発する感覚もあります。
このとき考えるのは「うわ!いやなにおいだ!」という考えです。

感覚過敏の場合はこの反応がさらに敏感なため「なぜか突然涙が出る」「あまりにいやな体験が思い出されるため二度と接触したくない」と考えます。

そのため感覚的な刺激を避けたとしても、その先にどのようなことが待ち受けているか他の人よりも敏感に察知し考えやすい傾向にあります。
「ものごとを深く考える」「感情の面で反応しやすく共感しやすい」といった点が感覚過敏に含まれているのは、こうした一種の危険察知能力と関係があるかもしれません。

発達障がいの子は全員感覚過敏になるの?

発達障がいの子の中には確かににおいや音に敏感で、それらがストレスとなって学習や生活に支障が出ているケースもあります。ただ、必ずしも共感性が高く、ものごとを深く考えるという点が含まれているわけではありません。

これは子どもにまだ熟考する力が十分に備わっていないということもありますが、中には「聴覚だけが過敏」「嗅覚だけが過敏」「視覚だけが過敏」の子もいます。

そのため発達障害の子どもはそのまま感覚過敏といえるかは、少し考える余地がありそうです。

なかなか気づいてあげることができない!子どもの感覚過敏

難しいのは子どもの場合自分のことを表現するための語彙が十分に身についていなかったり周囲と自分が同じであると考えるために、感覚的な不快感を

「我慢しなければならないこと」

と考える傾向があります。また、うまく表現できないために知らずのうちにストレスになっていることもあります。
この我慢が重なるとやがて心身に不調をきたし、突然泣きわめいたり腹痛を訴えたりするようになります。

もしも感覚過敏と分かったらどうしてあげたらよい?改善したほうが良い?

まずは生活しやすい環境を用意することが大切です。イヤーマフの着用やマスクの着用のほか、大きな声は控える、騒音があるところでは耳栓をする、身体の接触を強要しない(手をつなぐなど)など、それぞれの敏感さに応じた対応が大切です。

感覚の成長や慣れは個人差があり、ある日突然「これまではダメだった刺激が平気になった。」ということもあります。

感覚過敏の場合はそれらの刺激に意図的に慣れる練習を行う必要がある場合もあります。
ただしこうした練習には基本的に強い疲労感やストレスが伴いますので、進めるには慎重な体調のコントロールが求められるため、負担のない形で進める必要があります。また、中にはそれ以上に感覚受容できないケースもありますので、やはり無理に感覚受容を進めるのは避けましょう。

心理学的には感覚的な慣れを「順応」中枢レベルの慣れを「馴化」というキーワードであらわされますが、次第に慣れていく可能性はあります。


ただ、一方でどうしても受け入れられない刺激もありますので、それらは上手に付き合っていく方法を一緒に探してあげられると良いですね。

まとめ

いかがでしたしょうか?感覚過敏は身近なところにありますが、子どもの刺激の受け取り方は大人より繊細かもしれません。
ただ、一方では大人より反応の示し方はわかりやすく気づきやすいともいえるかもしれません。

不必要な我慢を強いず、まずは突然の行動の原因を探り、その後一緒に「どうやったら生活しやすいか。」を考えてあげてくださいね。

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