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WISCⅣの指標でもちいられる処理速度とは?個性を伸ばしてやる気を伸ばす

目次

WISCⅣの指標でもちいられる処理速度とは?処理速度がゆっくりな子への対応

時々、保護者の方からこんな相談をいただきます。

「学校の先生に言われたんですけど、どうも子供が内容を理解できてないんじゃないか」

確かにテストの点数は上がっていないですが、その子は授業態度は真面目で真剣に聞いている様子。

本人も「聞いているよ」と話している。

実は発達個性がある子の中には処理速度がゆっくりで、内容を理解するまでに時間がかかる子がいます。


今回は処理速度にまつわるエピソードとともに、処理速度のゆっくりな子たちがどのように勉強していくのが良いかをシリーズにしてお伝えしていきますね。

処理速度とは?

処理速度とは
「視覚から入った情報をインプットし、処理してからアウトプットするまでの早さ」
のことです。

よく例として出されるのは

・学校の板書が追いつかない
・言われたことを理解しながら書くことが難しい
・集中力がすぐきれる

があります。

処理速度も学校の勉強やコミュニケーションと深くかかわってくる認知機能ですね。

処理速度がゆっくりな子、勉強にはどんな特徴がある?

さて、実際に学校の勉強ではどのようなつまづきが起こるのか、起こっているのかを見ていきたいと思います。

1.先生の言っていることをメモに残せない

基本的にはインプットしてからアウトプットするまでの速さがゆっくりなので、話している内容をその場で「メモを取りながら」というのは難しいかもしれません。

2.板書が追い付かない

視覚から入った情報をゆっくり処理するため、板書が追い付かなくなってしまうようです。
また、処理にかかる集中力も切れやすいことから書いては休んで、書いては休んでを他の人より多く繰り返すイメージですね。

3.読解しきれない

文章を読み終えるまでに時間がかかるかもしれません。
読んでいる最中に頭がぼんやりしてきてしまうこともあるようです。

4.計算練習が続くと計算ミスが繰り返される。
単純処理を継続することが難しいため、100問計算練習などは難しいかもしれません。

中には個人差があって、

・計算練習だったら続けられる
・ゆっくりだけど本を読むのは好き

という子もいます。

処理速度のゆっくりさに配慮してあげると、その子のやりたいことも伸ばせるのでなるべく早めに対処してあげたいですね。

では、処理速度がゆっくりだとコミュニケーションにはどのような難しさがあるのでしょうか?

処理速度がゆっくりな子のコミュニケーションの特徴とは?

コミュニケーションと処理速度について実際にあった話を踏まえてご紹介しますね。

僕自身、これまでにも処理速度がゆっくりな生徒と何人もかかわってきました。

その子たちは一見すると普通だし、率直に言って

「少し話すのがゆっくりな子」と言ってしまえばそうなんです。

ただ、ゆっくりであるのと同時に

「言葉がなかなか出てこない」

これも1つの特徴としてありました。

もしかしたら言語理解とかかわっているところもあるかもしれません。

処理速度がゆっくりな子は人から聞いた話を理解するまでに時間がかかります。

そのため通常の速度や量で会話していると、実はとらえてきれていない、ということがあるようです。

でも、コミュニケーションの場で何度も

「ごめん!もう1回言って」とは言えないですよね。

多分「うんうん・・・」

と言って話を合わせることが多くなるのではないでしょうか?

それに、話しているほうも「うん。」と言われれば分かってもらえたんだと思うでしょう。

でも実はあまり伝わっていなかった・・・ということも多いのです。

処理速度がゆっくりな子は本当に一見では分かりづらいのです。

だからこそ、早めに気づいて対応してあげたいですよね。

処理速度は早めることができる?

これまで処理速度がゆっくりだった子について、

・どんな場面で困っているのか

をまとめてきました。

それでは処理速度を伸ばすことはできるのでしょうか?

その前にお伝えしたいことがあります。
これは僕の基本的な考え方ですが

「伸ばすより活かす」が僕の考えです。

なぜかというと

まず抑え込んでしまっている能力がある

と考えているからですね。

これまでの失敗体験から自信を失ってしまえばその力を発揮することもあきらめてしまう子が多いので、

まずは持っている力を活かす。


そのあとで伸ばせるところを伸ばす。

という考えですね。


では、この前提に立って処理速度を伸ばすことができるかどうかというと

「すぐには伸びない」

が答えになります。

まだ読むのをやめないでくださいね!笑

重要なのは

「伸ばすより活かす」

です。

つまり、処理速度そのものをすぐに鍛えることは難しいけれども

今持っている力を発揮できるようにするための

方法を与えることができる

ということです。

その方法とは

・処理しきるまでの時間を与える
・リピートしてもらい、なるべく多くの言葉を使用してもらう
・目の前に文字を表示し、その文字を使って文章を作成してもらう

などです。

処理速度がゆっくりな子へのサポート方法

では実際に処理速度がゆっくりな子に対してどのようなサポートをしてあげれば良いのかご紹介します。


方法①「処理の時間を与える」

処理速度がゆっくりなだけで処理ができないわけではありません。

そのため処理しきるまでの時間が必要です。ただ、この処理速度を厳密に「~秒」と測定することは難しいと思います。

そのためまずは
「時間制限を設けない」というのがポイントです。

時間制限があると分かっていても、ゆっくりなのです。
まずは時間をかけてでも良いので1問1問、着実にこなしていくようにしましょう。


方法②リピートしてもらう&音読してもらう

会話でも有効活用できますが、まずは実際に伝えた内容をリピートしてもらうようにしましょう。

これはつまり、実際に声に出してみる

ということです。

この方法によって処理能力を活かすイメージですね。

音読は国語に限りません。
英単語の練習でもできますし、算数・数学の文章問題でも活用できます。

方法③目の前に文字を表示し、その単語や言葉をもとに文章を作成してもらう

処理が苦手な子たちの中には言葉の処理が苦手な子がいます。
そういった子は

頭で言葉をつなぎ合わせ、文章にすることが苦手

という傾向にあります。


たとえ最近習ったような言葉やみんなが知っているような言葉でも、


・アウトプットするまでに時間がかかる
・知っているけれど出てこない

ということが多くあります。

これは「語彙量が少ない」と誤解されがちですね。

確かに語彙量が少なく思われますが、やや異なります。

知っているけれど出てこない。

というのがより正確です。

そのためまずはアウトプットできる語彙を増やすために、
こちらで語彙や単語、話した内容を見えるようにしてあげるのが良いですね。

そうすると何を言ったかが分かり(読む時間は必要)、語彙を使おうという気持ちも生まれ

ひいては新しい言葉のアウトプットにもつながります。


基本的にはアウトプットまでの時間を与えてあげる

というところがポイントです。

処理速度がゆっくりな子。学校での対応は?

処理速度がゆっくりな子が学校で一番困るのはやはり

授業時間で書き終わらない

ではないでしょうか?

学校はどうしても時間割もありますし、ときにはものすごい勢いで板書が進みます。

待ってほしいのに待ってもらえない・・・

といったジレンマがあるかもしれません。

まず、お願いできるのであれば

板書の写真撮影の許可をもらいましょう。

最近では1人1台のタブレットがあるため写真撮影のハードルもやや下がったのではないでしょうか?

まずは勉強についていけるようにするためにも写真撮影で補えるところは補いたいところです。


またコミュニケーションの際には

短文に区切って伝達してあげましょう。
処理量が多いと集中力が持続せず、インプットもままならなくなってしまいます。

処理できる量に配慮し、短文で区切って指示や伝達をしてあげると良いですね。

家庭学習では

ゆっくりと時間をかけさせてあげる余裕を持つこと、

そして

可能なら声に出しながら文章題や練習にチャレンジしてもらいましょう。

これだけでも内容が頭に入っていきやすくなることがあります。

その子の処理速度に合った学習方法を設定してあげてくださいね。

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