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揺れる思春期と受け入れがたい発達特性。すべての保護者の大きな安心を育てる小さなブログ

どんな子であっても思春期を迎えると、考え方や自分に対する思いも少しずつ変化してきます。今回は思春期の子どもがどのようなことに悩みやすく、また、発達特性が思春期の成長でどのような変化をもたらすのか、そしてどのようなかかわりを求めているかまとめてみました。

目次

揺れる思春期と受け入れがたい発達特性。すべての保護者の大きな安心を育てる小さなブログ

思春期は誰もが通過する道なのでつい「ああそんなこともあったねえ。」で済まされてしまいます。しかしそのとき深く気づけなかったかもしれませんが、実は壮大な変化を迎えている途中。発達特性のある子にとって思春期は他の人より繊細な面があるかもしれません。

思春期を知る

思春期とは、「周囲との関わりの中で大人として、1人の存在として自分を確立していこうとする時期」で、おおむね8~17.8歳までを指します。

大切なことは自分と周囲の関係から自分を見出し、自分はどうあったら良いのか考える点にあります。
思春期は小学5・6年生の前期、中学生3年間の中期、そして18歳までの後期と考えると分かりやすいためそのようにさせていただきます。また、ここで記す内容はおおむね中期(中学生)が中心です。

この思春期は様々な感情が猛烈に沸き起こり自分ではコントロールできなくなることもあります。特に周囲との関りに対し恐怖を感じたり希薄だと感じたりしやすく、孤独感を味わうこともしばしば。
反対にスポーツなどを通じて仲間意識が芽生え、互いに高めあうことができるようになるのも、自分がどのような役割であろうとするか、どのような役割を担っていたいのかを考える時期だからかもしれません。良くも悪くも競争心が強くなることもあります。

また、両価性といって親離れしたい気持ちと依存したい気持ちと両方の側面を持っています。親としては「どっち?」となりますが、一歩ずつ自立に向けた歩みを探っているといえるでしょう。

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発達障害の子どもの場合「周囲との会話を合わせづらい。」「学力が他の人のように伸びなくて劣等感が高まる」などその特性によって苦手さが生じやすい点が1つあります。これは一般的な思春期であってもそのように考える傾向はありますが、発達障害の場合だと一層その悩みが顕著にコミュニケーションや心身に不調をもたらします。
その一番の理由は「互いに思春期を迎えているから」と言ってもよいかもしれません。どのような悩みがあるのか1つずつ見てみましょう。

1. コミュニケーションがとれない
自閉スペクトラム症の中に「相手の意図が読み取りづらい」という1つの傾向があります。すると自分の話を繰り返してしまったり突拍子もない話をしてしまったりするのですが、これは仲間意識を持つ上で相手に不自然な印象を与えてしまいます。互いに共感性のある会話を求める時期ですから、コミュニケーションの不成立は距離感を生んでしまいます。

2. 集団に属せない
1対1の関係ならうまくコミュニケーションがとれても、いざ集団となるときに騒音や声の判別が苦手なために、集団活動ができなくなることがあります。コミュニケーションのときと同様に仲間意識が強くなる時期ですので、相手から見ると「空気の読めないやつ」となってしまうのです。それぞれに「自分がどこに帰属すべきか」悩むこともあります。よって帰属先が見つからないまま孤独を感じてしまいます。

3. 学力が追い付かない
中学に入ると国語・数学ともに抽象度が高くなるため、途端に学習困難を抱えることもしばしば。さらにテストの成績による評価の比重が高くなるために、勉強できないことに対する劣等感は高まりやすくなるかもしれません。さらに学習はどんどん先に進んでいってしまうために置いておかれてしまう焦燥感も。

4. 自分が分からない(将来の計画が立たない)
思春期は自分を探す時期でもありますから、だれしも一度は自分を見失うことがあるかもしれません。
しかし発達障害の子の中には計画的に考えることが難しかったり目標を定めることが難しいために、将来のビジョンが持てないこともあります。
これは「何をしたいのか分からない」というより基準点を持ちづらいという独特の傾向のために起こっていることと考えられます。
ところが周囲は「将来を見据えた学習を」「何をやりたいかが大事」と話をされ「分からない。」と答えると「もっとちゃんと自分をしっかり」と言われてしまいますよね。
自分がないわけではなく本当に「目的を定めにくい」状態にあるのですが、こうした言葉が続くと徐々に「ビジョンを持てない自分がダメ」と考えてしまうのです。
本来はぼんやりしたものであってもかまわないのですが、たくさんのことを考えてしまうために「言い切ることが難しい」とも言えます。

どうやって理解してあげたらよい?

まずは思春期がどのような状態なのか、客観的に理解することがとても重要です。

「周囲との関わりの中で自身の存在意義を見出そうとしている。」という点ですね。

そのうえで周囲との上手な関係を築くためにひと工夫あると良いです。
また、過度に劣等感を抱かないように配慮することも重要です。
障害受容という言葉がありますがこれはそもそも、自分を受け入れるということです。

障害であることを受容するのではありません。自分の個性や能力を冷静に知り受け止めることですので、思春期はこの「自分を知る」ということを促す時期になります。その中に発達特性を受け入れるということが含まれます。繰り返しになりますが障害受容ではありません。あくまで自分の個性を長所とともに受け入れることが重要なのです。

また、思春期は自分を定義しようとする時期です。そのため「発達障害だから自分は・・・」とか「自分は人間関係がへたくそだから・・・」「自分は他の子と違う生活を送っているから・・・」
と、自身の置かれている環境から自分を定義付けます。

しかしこれらの定義は基本的に劣等感、挫折感、倦怠感、疲労感といったネガティブな感情からスタートするため、ネガティブな固定観念で固まってしまうのです。
これは自己受容ではないですよね。

とはいえポジティブに考えればよいかというとそれもすぐにはうまくいきません。繰り返しになりますが周囲との比較の中で自分を見るので、一度ネガティブに自分を低い位置に置いてしまうとなかなかポジティブに自分を受け入れるのは難しいものです。

まずは「置かれている環境(人間関係)」「どのように自分を定義しているのか、見つめているのか」「なぜそのように感じたのか」を冷静に整理し、そのうえで「自身の苦手を補う方法はあるか」「他に伸ばせる長所はあるか」「少しずつチャレンジできるか」という前向きなアクションにつなげていくことが重要です。

これは心理カウンセラーや専門家を介して行うのが良いですし、他のコミュニティを活用するのもよいでしょう。

チャレンジするまで待っていたらいつか気づいてくれる?

ただ時間をかけることが必ずしも解決策に通じるとは考えにくいので、まずは第三者としっかり情報共有しながら現状を整理することが大切です。
現実の身近なところでのコミュニケーションが途絶えてしまうとネット上の中で自分の存在意義を求めようとし、危険な環境に身を置いてしまう可能性もあります。
仮に自分のことを発達障害と考え検索すればいくらでも情報が出てきます。これらの情報はポジティブな情報もあればネガティブな情報もありますが、そもそも探る理由がネガティブな思いからスタートしやすいため、ネガティブな内容に共感しやすい傾向にあるのです。

ネットを見ることを制限することもSNSの利用を制限することも1つの手としてありますが、やはり実際のところで信頼できる人が近くにいることが一番安心なのです。

親は信用されていないわけではない。反抗期を乗り切るために

思春期には反抗期も含まれますので必ずしも保護者にすべてを打ち明けてくれるわけであはありません。
だからといって信頼してもらうためにあれこれ手を尽くしてあげたら信頼してくれるかというとそうもなりません。
信頼を得るもっともよい方法とは、何気ない日常とささやかなコミュニケーションにあります。つい力が入りがちですが、このささやかな平穏こそがもっとも安心できる状態なのです。冷静に、かつ平穏に見守りながら何気ないコミュニケーションをとってあげてください。

広がる進路の選択肢。行きたい高校の見つけ方

今はサポート校という形で、子どもが通いやすいようにカリキュラム設計されている学校や興味関心にもとづく学習が行われるようにカリキュラムをそろえている学校もあります。
合同説明会のほか、オンライン説明会なども開催されていますので、志望校が定まっていないのであれば幅広く各校の話を聞いてみるのが良いでしょう。
9月ごろであっても説明会は実施されていますが、3年生がスタートした段階から少しずつパンフレットを集めたり説明会に参加しておくのが良いです。

いつまでも孤独感は続くもの?一人じゃない、思春期の終わりに感じる人のやさしさ

こうした思春期も後期に差し掛かると、自分の中に「自分はこういうもの」という考えが成立し、次第に生活や学習に対しても自分なりの選択をするようになります。このとき当然ネガティブな感情からスタートしている選択は良くありませんが、基本的には将来を見据えた選択をすることができるようになります。
先ほど「思春期ではビジョンを定めにくい。」と記しましたが、思春期後期になれば自分の中でも妥当性を見出すために前よりも将来を描きやすくなります。これは計画性や逆算的な思考とはやや異なりますが、妥協とは異なりますので安心してくださいね。
 タイトルのように、思春期の終わりにはこれまで自分を支えてくれた人に対しても目を向けるようになり感謝の気持ちを抱くようになります。それまで抱いていなかったわけではないのですが、やはり自分がどうあるべきかを考えるのに必死だったのでしょう。
 ひと段落してくると自分が確立され周りにも目を向けられるようになります。保護者は近い存在である分、直接的な感謝はされにくいかもしれませんが、学校の先生や関わってきた大人への感謝は忘れていません。そして自分は決して一人ではないことを実感してくれるはずです。

まとめ

思春期とは壮大な変化の時期です。その分、保護者も周囲の大人も悩むことが多くなるかもしれません。しかし文中にも述べたように必死で自分と闘っているときに最も必要なのは、それまでと変わらないでいてくれる日常であり、ささやかなコミュニケーションです。
うまく互いに気持ちを切り替えながら、自分探しの力になってあげてくださいね。

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