WISCⅣの4つの指標~言語理解・知覚推理・ワーキングメモリ・処理速度はそれぞれ何をあらわす?~
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WISCⅣの4つの指標~言語理解・知覚推理・ワーキングメモリ・処理速度はそれぞれ何をあらわす?~
ウェクスラー式知能検査の子ども版です。5歳0カ月〜16歳11カ月まで受けることができます。5つの合成得点として全般的な知的能力、言語理解、知覚推理、ワーキングメモリ、処理速度の4つの指標があり、それぞれに下位検査があります。
今回はその中でも代表的な5つの合成得点をご紹介します。
総合指標(FSIQ)
いわゆるIQと呼ばれる指標です。IQは標準が90~120で、75~90が知的ボーダーとみなされることはあります。知的ボーダーに明確な水準があるわけでなく、この範囲は曖昧です。75を下回ると療育手帳音取得ができるほか、軽度知的障害に該当することもあります。
FSIQは4つの検査の得点の、いうなれば平均をとることで求められます。そのためFSIQだけで知能の高低をはかることはできません。それぞれの4つのIQの差が20以上あると生活に支障があるとされています。
そのため本人の傾向を知るためにはFSIQだけでなく、それぞれの検査得点のバランスを見ていくことでその傾向を知ることができます。
言語理解
知識をどれだけ習得しているか、言葉の意味をどれだけ理解しているか、言葉をどれだけ使いこなせるか、または推理できるかをはかるための検査です。
言語理解の高さにも知識の高さとその使い方の高さがあります。
例えば知識は高いが使い方が分かっていない場合、一問一答形式で答えることは得意でも作文が苦手になり、自己表現が苦手です。反対に知識は低いが使い方が得意な場合は、自分なりの意見を主張することは得意ですが、言葉足らずで誤解を招きやすいといったことがあります。
知覚推理
パターンを推理したり背景の物事を理解したり、見えている情報を補って全体を理解しようとしたりする力です。
パターンを理解することは得意でも知覚的な推論機能が苦手な場合もありますので、知覚推理の指標も細かく確認していく必要があります。
ADHDの子は推論機能に苦手さは少なくても判断が直感的になりやすいため、推論を間違うことがありいます。
ASDの子は推論機能が苦手なため、他の情報と関連性をもたせづらいために判断が直感的になりやすい傾向があります。
ワーキングメモリ
作業記憶とも呼ばれます。ワーキングメモリは端的に言えばマルチ思考ですがやや異なりますので注意してください。
ワーキングメモリはある作業を完成させるために必要な情報を、一時的に保持しておく力のことです。
例えば次のようなことがあります。
料理ではお湯を沸かしながら食材をカットする
学校では次の時間のことを覚えながら準備をする
算数では暗算をしながら計算問題を進める
何を答えるべきか覚えておきながら漢字練習を進める、あるいは解答する
ワーキングメモリが低いと何をすべきかをすぐに忘れてしまうため、集中力が切れやすいと言われています。いくら注意深く傾聴したり作業を覚えようとしても覚えておく時間や量に限りがあるという点に理解が必要です。
ワーキングメモリは衝動性のコントロールとも関わりがあります。
衝動的な行動が多ければそもそもワーキングメモリを機能させないため、ワーキングメモリの数値が低く出ることがあります。
処理速度
処理し続ける力を指します。処理速度は、はじめに「すべき作業」を把握し次に「実際に作業に取り掛かり」「その正確さ」を測定します。
検索と呼ばれる機能はこの処理速度ではかられます。
そのため処理速度が低いと「まず何から取り掛かるべきか」「何を探すのが良いのか」「どのように探すのが良いのか」といった考え方が苦手と言えます。
処理速度は計算のように単純な作業をこなしていくだけではなく、状況を判断して理解して、さらに実行するまでの一連の流れを示しているという点で注意が必要です。
まとめ
日本では現在主にWISCⅣが流通していますが、WISCⅤがこれからメジャーになっていくかもしれません。
WISCⅤではⅣに比べてはかられる項目はより細分化されます。また、FSIQ(全検査IQ)だけで判断することの危険性についても
警鐘を鳴らされています。
各指標間のばらつきがあるのが神経発達症へつながっています。これらの指標が何を示しているか、まずはこちらを参考にしてくださいね。
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