論理的思考力をきたえる前に確認すべきこと。眼の動かし方とビジョントレーニングが学習に重要な理由
目次
- ○ 論理的思考力をきたえる前に確認すべきこと。見えづらいところだからこそ意識したい、眼の動かし方
- ・眼に映った世界がすべて!?直感的に判断するとはどういうこと?
- ・直感的な判断をしてしまう子には考える力がない!?
- ・直感的に判断してしまうために起こる読解の苦手さ
- ・なぜビジョントレーニングが必要なのか?その方法と効果が出るためのポイント
- ・まとめ
論理的思考力をきたえる前に確認すべきこと。見えづらいところだからこそ意識したい、眼の動かし方
発達特性をお持ちのお子さんの中には直観的に判断してしまうために間違えてしまったり、自分では分かっているつもりが実際は間違えてしまうことがあります。
直感的に判断するとはどういうことか?
それは見たままで判断しているのではなく、目に映ったものだけを頼りに判断しているといえるでしょう。
論理的思考力とも深くかかわるこの直感的判断に頼りすぎてしまうと本人も気づかないうちに間違いを連発してしまうので注意が必要です。
眼に映った世界がすべて!?直感的に判断するとはどういうこと?
視覚の直感的に判断するというのは
眼に見えた文字や物の情報だけを頼りに判断することです。
文字にすると違和感を感じないかもしれません。人は情報の80%~90%を視覚から得ていると言われています。
だから眼に頼ることは自然なこと。
しかし眼に見えた数や物事に対して、算数や文章を読み解く際は「考える」という行為が働きます。
この「考える」という行為を行わずに、眼で見た情報のみではんだすることを直観的に判断するとどうなるか。
やや複雑な情報では論理的な考えができなかったり、情報の読み取りが断片的になってしまうのです。
直感的な判断をしてしまう子には考える力がない!?
ここで誤解を招かないためにも1つ補足しておきます。
直感的に判断してしまうからと言って考える力がないのではありません。
ただ、本人も「考えた結果、毎回違うと言われてしまう。これではどうしたら良いか分からない。」
ということを考え、しかし周囲からは指摘されないために
「また同じ失敗をしている」「前も練習したはずなのに改善されない。学習できていない。」という別の見方をされてしまうのです。
この「自分の中での不全感」と「周囲の見方」との間にギャップがあるために
次第に自信をなくし、何が正解か分からないから自信をもって答えることもできなくなってしまい、答えることをあきらめてしまうこともあるのです。
考える力がないのではなく、考える力がないように周りからは見えてしまうという点に
この直観的に判断する学習の難しさがあります。
直感的に判断してしまうために起こる読解の苦手さ
こうした直観的に判断する学習は文章読解においては
①読み間違い
➁飛ばし読み
➂言葉の誤った学習
などをもたらします。
特にこの傾向が強くなるのがADHDで、視点を定めることが難しい場合に起こりやすいと考えられます。
しかし先にも記したように決して考えることができないのではなく、さらにいえば本人の意志によって起こった間違いでもありません。
眼に映った情報は本人の意志とは無関係に人の反射を引き起こす場合があります。
直前まで別ことを考えていたにもかかわらず、眼の前においしそうなお寿司があれば思わず食べたくなりますよね。
空腹感があったとも考えられますが、私たちは眼で見た情報によって自分の行動が操作されることもあるのです。
つまり、飛ばし読みをしてしまったり誤った語彙を獲得してしまうのも本人の意志通りであるとは限りません。
むしろ本人でさえどうしていいか分からない状態で、学習をさせられているといえるでしょう。
なぜビジョントレーニングが必要なのか?その方法と効果が出るためのポイント
ビジョントレーニングという言葉をもしかしたら聞いたことがあるかもしれません。
ビジョントレーニングとは、
視点を自分の意志通りに動かせるようになるために行われるトレーニングのことです。
用紙にばらばらにちりばめられた1~50までの数を順に探していったり、
線の動きを指でなぞりながら眼で追跡したり、その内容は様々です。
例えば用紙に散りばめられた数を順に数えていく課題では、探すまでに時間がかかりすぎてしまったり探している最中で数を飛ばしてしまったりすることがあります。
視点が上手に意志通りに動かせないために、直感的に目に止まった情報をそのまま読み上げてしまったのかもしれません。
いずれにせよビジョントレーニングは自分で視点を定めて必要な情報をキャッチするために行われるトレーニングですので、
ビジョントレーニングの実施が読解の練習や算数の計算練習にもつながっていくこともあるのです。
効果が出るためには少ない量でも毎日練習を行うこと。
当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、やはり意図的に眼を動かせるようになるためには着実の積み重ねが必要なのです。
おすすめのビジョントレーニングのテキストは
「学ぶことが大好きになるビジョントレーニング」
現在のお子様の状態をフローで確認したうえでどのビジョントレーニングから始めたらよいかを選択できるようになっています。
「学ぶことが大好きになるビジョントレーニング」(図書文化)北出勝也 著
まとめ
眼の動かし方は私たちも重点的に確認しています。
中にはやはり眼の焦点を合わせづらかったり眼の動かし方が自分の思い通りでなかったりする子もいます。
しかし私たちはこうした子について
「その子の意志通りに動かせているのではなくこれから練習して身につけられる力」と考えています。
プラタナス学習室には言語聴覚士や公認心理士が連携しており、ビジョントレーニングや視覚的な課題解決に向けた提案を行っております。
お気軽にご相談くださいね。